マン・レイ展に行った

国立新美術館のマン・レイ展に行った。

おなじ美術館で同時に開催しているオルセー美術館展は、すごい行列で50分待ちと書いてあった。大変なことだ。真夏に50分も並んで、入ってからも人ごみに圧迫されながら展示を観るのだ。人ごみの中、赤ちゃんが泣き叫ぶのだ。俺はちょっと前に観たんだけど、その時は行列はなかったけどやっぱり混雑していて、快適に展示が観られる状態とは言えなかった。日本人は本当に印象派、というかゴッホをありがたがる。

一方マン・レイ展は空いていて、ゆったりと過ごせた。
マン・レイは第2次世界大戦あたりの時に活躍した芸術家で、作った絵とか彫刻を記録するためにカメラで撮りまくってたらそっちが本業になっていって写真家として有名になった人らしい。写真のプリント技法の研究に熱心で、色んな技法を残した人でもある。

展示には、彼が残した絵画、彫刻、映画、そして写真があった。ほんと色々やった人だ。
でもダダイストだったり、デュシャンと仲よかったりするところからも分かるように、絵画と映画に関してはまあ意味分かんないア〜トな感じでした。
彫刻は、ちんこのペーパーウェイトとかあってわりと好きだ。ちんこ多め。あとチェスが好きだったらしくチェスの駒を作ってたんだけど、それがプリミティブなデザインで可愛かった。
写真については、有名と言われる数点の作品を除いて、展示のほとんどが当時の女優とかのポートレートであって、芸術性があんのかどうかはよく分からなかった(マン・レイはファッション誌のカメラマンをやって食い扶持を稼いでいた)。
有名な写真作品「黒と白」は、肌の白い奥さんの顔の横に黒い仮面を置いて撮った写真と、さらにそれをネガポジ反転させた写真の2枚からなる。いい作品なんだけど、それより興味深いのは、制作において、髪の束を消したり、鼻を強調させたりして、当時の技術を駆使したフォトレタッチがふんだんに使われているらしいというところ。

そんな感じで、エンジニア的な感覚を持った人だなと思った。チェスの駒の設計図がとても細かいものであったりとか、晩年には昔つくってた作品をリトグラフにして量産する技術の追求に没頭したりとか、そういうところからもエンジニアっぽさを感じる。

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